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ヲノサトル

「イナンナの冥界下り」凱風館


神戸凱風館での「イナンナの冥界下り - 人形劇バージョン」完全公演が無事に終わった。

本番前には凱風館の設計者・光嶋裕介さんや、師範であり住人でもある内田樹さんの解説つきで、道場から住居までじっくり拝見し質問攻めにして大満足。 安田登一座のこの演目については常々、なぜ古代シュメール神話と能の謡や所作が違和感なく溶け合うのかと思っていたが、今日最後に内田樹さんが「どちらももはや滅びた”死語”の世界。死んだ者どうし相性が良い。そして死者を現世に蘇らせ再び生命を与えることができるところに演劇や芸能の奥深さを感じる」と語られていて、腑に落ちた。

これまで上演してきた古代シュメールの神、泉鏡花の海神や天守妖怪、アフリカの人喰鬼婆、魑魅魍魎の音頭……脈絡ないようでいて、いずれも「この世ならざるもの」が主役という点で一貫してるのが安田一座の特徴。

そう言えば今日は、台本的には奈々福さん三味線ソロだったはずのパートで、瞬発的に「ここは何か音があっていいんじゃないか」って気がして、打ち合わせになかったシンセを弾いてしまった。

本当に、自分の意思というよりも、それこそ「この世ならざる」何かの力に誘われて、しぜんと音を出してしまったという感じ。こういうこともあるのです。

この一座では台本を逸脱したところで誰も怒らないし、そもそも「間違い」という概念がない感じ。稽古と違ったら違ったで面白いじゃん…みたいな。だから何かを直感したら、その直感を信じて動くことができる。 そこが気にいっている。

というわけで、関東での『イナンナの冥界下り』は9月24日(休:中秋の名月)銚子の『地球が丸く見える展望館』で上演されます。お楽しみに。

(トップ写真:光嶋裕介)

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