これはソフトが発売されたら、自宅のパソコン画面で観てみたいと思った。フィクションとリアルの区別がつかなくなりそうだ。
「パソコン画面だけで進行する映画」というアイディアを、しかしちゃんと面白く見せるためのあの手この手。
脚本の巧さに舌を巻いた。主人公と観客のミスリードを誘い、物語を二転三転させる様々な仕掛け。結末にたどり着いてみれば、確かにあちこちにヒントはあったなと。
面白かったのは、パソコン画面上の挙動(カーソルを移動したり、対象をクリックしようとしてやっぱりやめたり、書き込んだ長文を削除して打ち込み直したり…)や、その間合いやタイミング自体が、画面には映っていない主人公の心理を描写する見事な「演技」となっていた点。
たとえば、ラインでもショートメールでも、ガーッと書き込んじゃった後「んー…これはやっぱりやめとこう」と全削除してあらためて書き直すことって、よくあるじゃないですか。
本作にもそういう場面が出てくるんだけど、これがじつは感動的なラストへの伏線になっていて、泣かされた。
そして、とにかく子を持つ親としては、我が子のSNS利用状況とか友人関係とかが把握できていなかった父親(主人公)の焦燥や苦悩がまったく他人事ではなく、最初から最後まで感情移入しすぎて、グッタリ疲れました……。
付け加えれば、映画の冒頭で娘の成長をデジタルメディアに記録していく描写には、Google ChromeのCM "Dear Sophie" (2011) を思い出した。
(2018. 10.29)