ダンスミュージックについての様々な文献を紹介します

世界のダンス ― 民族の踊り、その歴史と文化

ジェラルド・ジョナス (訳: 田中祥子+山口順子), 大修館書房, 2000年

 ダンスやダンス・ミュージックについて調べ始めると、資料のほとんどが「バレエ」とか「フラメンコ」とか「サイケデリック・テクノ」といった、特定のジャンルに関するものであることに気づく。だが、そうした細分化の前に、ひとまず「ダンスとは何なのか」を概観しておくためのリファレンスが必要ではないか。そう考えていた当方にとって、本書はまさしく最適な「最初の一冊」となった…

「アメリカ音楽」の誕生 ― 社会・文化の変容の中で

奥田 恵二, 河出書房, 2005年

大衆音楽や芸術音楽といったジャンルを横断し、建国から現代に至るアメリカ音楽の歴史を総括する骨太な一冊。本書は、建国前後からジャズ誕生に至る「創世期のアメリカ音楽事情」にフォーカスしているところが値打ちだ…

ティ・フォー・トゥー物語 ― アメリカ・ポピュラー音楽への遊歩道

村尾陸男, 中央アート出版社, 2001

本書は、ミュージカル劇場で生まれたポピュラー歌曲『Tea For Two (二人でお茶を) 』が、モダンジャズのスタンダード・ナンバーとして定着していったプロセスを、丁寧に検証している。個人的には、合衆国におけるダンス・ミュージック揺籃期の様々なエピソードがたっぷりと描かれている第1部が面白かった…

 

ニグロ、ダンス、抵抗 ― 17~19世紀カリブ海地域奴隷制史

ガブリエル・アンチオープ (訳: 石塚道子),

本書は、様々な古文書や手記、新聞記事、聞き書きなどの稀少な資料を丹念に捜査し、これまで曖昧なイメージでしか語られてこなかったカリブ地域の奴隷制社会を、支配者と奴隷の双方を含めた一種の動的な経済=文化システムとしてリアルに描き出している。とりわけ「奴隷のダンス」の起源や流行について、詳しく記述されている…

カリブの音楽とダンス

シュリ・カリ (訳: 大串 久美子), 勁草書房, 1996

『ニグロ、ダンス、抵抗』は、カリブ海地域のダンスや音楽の成立を歴史的にも地理的にも大きく俯瞰する内容であったが、それだけに実際の音楽や使われる楽器といった細部までは踏み込まないもどかしさがあった。本書は、歴史的経緯や状況については簡単な紹介程度にとどめ、そのかわり地域と時代を限定して各論を展開…

栄華のバロック・ダンス ― 舞踏譜に舞曲のルーツを求めて

浜中康子, 音楽之友社, 2001

18世紀。カリブ海の農園で奴隷たちがダンスに情熱を傾け、過酷な現実から束の間の逃避を果たしていた頃、ヨーロッパの宮廷では、感情を極力排して調和と秩序を表現する、きわめて様式的な「イデオロギーとしてのダンス」が貴族たちによって踊られていた。いわゆる「バロック・ダンス」である…

ワールド・ミュージック ― 音、共同体、テクノロジー

ユリイカ 臨時増刊 青土社, 1990

先の『アフリカ音楽の想像力』を補完する資料として挙げておく。当時のワールド・ミュージック現象をとりあえず追体験するのに手頃な1冊。藤井知昭「都市化の中の民族音楽」、小川博司「『ワールド・ミュージック現象』は『パリ病』の再発か」、大里俊晴「ロックと非-西欧 不自然な共犯関係を」など、興味深い論考が多い…

 

アフリカ音楽の想像力

白石顕二, 勁草書房, 1993

80年代末から90年代初頭「ワールド・ミュージック」なる言葉が流行した。言ってみればディフュージョンされた「エスニック音楽」が、トレンドの最先端として消費された。本書はまさにこのようなワールド・ミュージック出現の前後にアフリカを旅した著者による、最前線レポートである…

ポピュラー音楽をつくる ― ミュージシャン・創造性・制度

ジェイソン・トインビー (安田昌弘:訳), みすず書房, 2004

昼間は肉体労働、夜はバンド演奏というセミプロのミュージシャン活動を40代まで続けた著者が、一念発起して研究者に転向した時の博士論文が、本書の原型だという。ポピュラー音楽およびミュージシャンの存在について、社会学、経済学、音楽学、美学、文学、現代思想…と膨大な文献を用いて分析論考…

クラブ・ミュージックの文化誌 ― ハウス誕生からレイヴ・カルチャーまで

野田努 (編), JICC出版局, 1993

「ダンス・ミュージック」とは単にポピュラー音楽の1ジャンルなのではなく、ポピュラー音楽の枠組みを再定義する重要な存在である。本書はそうした事実を人々が認識し始めた時期、言い換えればダンス・ミュージックが「音楽史」に現れ始めた90年代初頭に書かれたリポート集…

アーバン・トライバル・スタディーズ ― パーティ、クラブ文化の社会学

上野 俊哉, 月曜社, 2005

社会学者でありつつトラヴェラー、DJ、アクティヴィストとして実際に世界中の「現場」に参加し続ける著者が、踊りながら考え、考えながら踊る、そのプロセス自体を文章化したようなパワフルな一冊だ…

DJカルチャー ― ポップカルチャーの思想史

ウルフ ポーシャルト (原克:訳), 三元社, 2004

ポップミュージック研究の文献は英語圏のものが多い印象がある。さすがはUK、ロックの本場。だったらテクノの本場は?…というわけで、本書はドイツ発のDJカルチャー俯瞰図。原書は「ヒップホップ」「ハウス」などジャンルを分けて音楽シーンについて詳述もしているブ厚い書物らしいが、本書はその中から「理論部分」のみを抄訳したもの…

DJバカ一代

高橋透, リットーミュージック, 2007

これは50歳で今も現役のスーパーDJ・高橋透さんが半生をふりかえる自伝だ。世にDJ論やDJ文化論は数あれど、では当のDJがいったい何を考え、どのように暮らしたり働いたりしているのかという現場レベルの「一次資料」となると意外に少ない。そんな中、本書は臨床記録のような克明さで「人はいかにしてDJになるのか?」を活写した、貴重な証言資料と言って良いだろう…

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